『匂いの人類学ー鼻は知っている』を読んで 

執筆依頼を頂きまた匂いに関する記事を書くことになった。
以前、発表した論文のプレスリリースを行ったからその反響だろうか。
今年ですでに3件の執筆依頼。

流石に、書く内容がないので情報をインプットすることに。
僕の知っている知識と知見、そして,すでに本に書かれている内容を組み合わせると新しい思考になるはずだ。
今回読んだ本は結構ボリュームがあった。
匂いの人類学:”What the Nose Knows”

著者は、エイブリー・ギルバードでカルフォルニア大学を卒業後にペンシルバニア大学で博士を取得した人。
心理学者であると同時に、嗅覚専門の認知科学者。フレグランス企業で人間の嗅覚の研究を行っていた人物だそうだ。

僕は化学の畑にいる研究者で、化学の視点から匂いの研究を行ってきた。
そのため、認知学者が書いたこの匂いに関する本はとても新鮮だった。
何より、人が感じる匂いを統計な手法でアプローチしていく。
実験方法は匂いに関する体験をしてもらい、アンケートに答えるというようなものだろう。
化学者がほとんど使わない手法である。

この本で一番印象に残っているのは、人が死んで腐敗するときの匂いに関する記述だった。
1960年代にクレムゾン大学の学生、ジェリー・ペインは死体が腐敗する様子を時系列的に詳しくまとめたそうだ。(Jessica Synder, Corpse: nature, Forensic, and the struggle to Pinpoint Time of Death)
この研究が、犯行現場における死亡時刻を推定するための基礎になっているそうだ。
とても気持ち悪いので、読み飛ばしたほうがいいかもしれない。
死亡過程は6段階に分かれる。
1.新鮮(1日から2日)

2.鼓脹(2日目から4日目)
腸のバクテリアが二酸化硫黄を発生させて、スカンクのような天然ガスの匂い

3.活発な腐敗
体内組織が液体化し、発酵する。
以外に甘い匂いを発生させて、昆虫が近づいてくるらしい。。。

4.進行した腐敗 (6日目)
凄まじく不快な匂いを発生させ、アンモニアのような匂いに移行するらしい。

5.乾燥 (7日目以降)
濡れた毛皮や古い革の匂い

6.遺骸 
歯、骨、毛しか残らず匂いがない。。。

ちょうどこの箇所を読んでいるとき、僕はラーメン屋にいてご飯を食べる前だった。
いつもは美味しく食べられるのだけど、そのときはとてもまずく感じた。
この本にも書かれているけど、匂いの刺激は体験や受け取り方で大きく変わる。
ラーメンのいい匂いも、この本に書かれた悲惨な情報で台無しになったのだ。。。。。

もちろん、この本は死体の腐敗に関する情報だけでなく。
(死体の情報は数ページ)
他にいろんなことが書かれていた。
映画と匂いを組み合わせる話とか、匂いと思い出の話とか。色々だ。
この本は化学の知識がなくても簡単に読める。
人間が持つ”嗅覚”に関して色々と教えてくれる本。

暇な時に読んでみるといいかもしれない。

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