物質の中の電子移動を原子レベルで理解する:電子は波でエネルギーバンドが大切

電気を流しているのは電子であり、電流の本質になります。
ここで電気を流すことができるものを導体とよび、逆に電子を流さないものを絶縁体と言います。
では、この導体と絶縁体の本質的な違いはどこから生じるのでしょうか?
それを理解するためには、量子力学の分野を理解する必要があります。

電子は波であり原子核から束縛されているかが電気を流せるかに起因
量子力学では電子を素粒子として扱い、波動性と粒子性の両方を兼ね備えた性質を持つものと考えます。
電子の波としての性質は、発見者に因んでド・ブローイ波と呼ばれます。
物質の中には電子が10^22~10^23個あり、電子の状態により電気が流れやすいかどうかが決まるとされています。
皆さんご存知のように一般的に金属は自由電子、名の通り原子核に束縛されずに動くことができる電子があります。ここで気体や液体では電子は束縛された状態にあり電気を流すことができませんが、規則的に配列した固体ですと電子を流すポテンシャルを持ち、電子は原子核の束縛から開放されて動けるようになったりします。量子力学的には電子が束縛されているより、固体の中を自由に動けるほうがエネルギー的に得をし、これが固体を作るための結合エネルギーとなっています。

エネルギーバンド状態も電子を流すかどうかを左右する重要な因子
ただ固体になれば電気を流すことができるかというとそれほど簡単な問題ではなくなります。
例えば、塩化ナトリウム(NaCl)やダイヤモンドは固体であるが、絶縁体であり電気を流すことができない。
このことを理解するためには、固体のバンド理論が大切になるのです。
固体の中には電子を入れることができる箱がある。この箱をエネルギーバンドといいます。(ちょっと語弊があるかもしれないけど)
金属は箱の中に電子がいっぱいにならない状態になっており、電子が動きやすい状態になっているのです。
一方で、絶縁体はエネルギーバンドに電子をいっぱい詰め込んでおり、箱の中は電子でいっぱいになった状態になっています。そのため、電子はぎゅうぎゅうで身動きが取れず、電気を流すことができなくなるのです。
イメージとしては、満員電車を想像してみてください。
ここでは、乗車している人が電子で、車両がエネルギーバンドに該当します。乗車率が少ない場合には電車の中の人は動くことができます。つまり、電子を運びやすい状態になります。
一方で、満員電車のときは、人がギュウギュウで身動きが取れません。つまり、絶縁体の状態に該当し、電子を運ぶことができないようになります。

参考文献
内田 慎一, 『固体の電子輸送現象』, 2015.

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