匂い研究の最前線とそのグループ紹介

我々の嗅覚に関する研究は聴覚、触覚、視覚、味覚などの研究分野と比べると、わからなことがたくさんあります。私達の鼻にはおよそ390種類もの嗅覚受容体があり、そのほとんどの役割がわかっていないからだと思います。一つの嗅覚受容体をとっても、一つの分子にのみに応答するというわけではなく、複数の分子に対して応答する可能性もあります。つまり、匂いは複雑なんですよね。匂いの中に複数の分子が入っていてよくわからない。さらに、匂いを感じ取ったあとに電気信号が脳に行き処理されるので複雑さが増します。今回、匂いに関して興味深い研究に関して紹介します。

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■ 匂いの感じ方を系統的に調べ匂いの感じ方を予測
IBMのグループが匂いの感じ方、例えば花の香りやフルーツの香りといった言語表現と匂い分子の関係を系統的に調べることで我々が感じ取る匂いを予測する研究成果を発表しています。
論文: E. Darío Gutiérrez et al., Predicting natural language descriptions of mono-molecular odorants, Nature communication, 2018. 

 生物由来の嗅覚受容体を人工細胞膜に取り入れセンサとして利用
NEDOのプロジェクトで匂いセンサ開発が進められています。東大と住友化学、神奈川県立産業技術総合研究所が進めているプロジェクトで、昆虫(蚊)の嗅覚受容体を人工膜に導入してタンパク質の優れた機能を利用してセンサを作ろうとしています。
論文: Misawa Nobuo et al.,  hoji Takeuchi: Construction of a Biohybrid Odorant Sensor using Biological Olfactory Receptors Embedded into Bilayer Lipid Membrane on a Chip, ACS Sensors, 2018.
研究室ホームページ:http:// http://www.hybrid.iis.u-tokyo.ac.jp

■  人の嗅覚細胞を使ってトランジスタセンサを開発
韓国のPark先生が行っている研究で、人の嗅覚受容体をリポソームやナノディスクといった人工の細胞膜に導入する研究をしています。人工膜に嗅覚受容体を導入したあとに電極の上に設置して匂いがきた時に匂い分子と嗅覚受容体が結合することで電流の流れ方が変わるようです。開発されているセンサは、すごく感度が高くてfppmというとても高い感度を達成しています。人の嗅覚でもこんなにも感度が高いんですね。イメージとしては犬の嗅覚の方が優れている感じがしますが、匂い分子によっては人のほうが優れていると言われています。
論文: Oh Seok Kwon et al., Conducting Nanomaterial Sensor Using Natural Receptors, Chemical Revies, 2019. 
Park 研究室ホームページ:  http://biotech.snu.ac.kr/frontpage.asp?catalogid=cmel&language=en&calltype=redirect

■ 匂いセンサとロボットの融合

半導体を使ったセンサは商品としてすでに売られています。半導体センサの欠点は高い温度が必要であったり、特異性といって分子を識別する能力が高くないと言われています。もちろん、センサとして十分利用できるレベルです。これらのすでに開発されたセンサをロボットへ搭載する研究が行われています。ここで難しいのはニオイ分子は空気中を漂っているので、風などの対流によって匂い分子が流されてしまいます。そのため匂いの発生源を突き詰めたり、定量的に部屋の中を匂いを分析するのは難しくなります。日本では匂いを搭載する研究は東京農業大学の石田先生が有名で、匂いの国際学会(ISOEN2019)でのロボットコンテストで優勝していました。
また、ドイツの研究機関(BAM)ではドローンに匂いセンサを搭載して3次元での匂いマッピングに成功しています。普通に考えてドローンにニオイセンサを搭載したら、ドローンのプロペラにより対流が発生し匂い分子がかき乱されると思いませんか?実はこのグループはレーザーを使ったセンサを利用していて、遠くからセンシングすることで3次元マッピングに成功しているのです。
論文: Patrick Neumann et al., Adaptive Gas Source Localization Strategies and Gas Distribution Mapping using a Gas-sensitive Micro-Drone, GMA/ITG-Fachtagung Sensoren und Messsysteme, 2012. 
石田研究室ホームページ: http://web.tuat.ac.jp/~h-ishida/index.html

■ 生きた昆虫細胞を使ったセンサ
東大の神埼研究室は昆虫の脳をモデルとして、嗅覚細胞から神経、脳までの一貫した研究を行っています。生きた昆虫をロボットの上に乗せて、神経とロボットを接続させることで匂いセンサを開発しています。SFの世界で登場するような最先端な研究です
神崎研究室: http://www.brain.rcast.u-tokyo.ac.jp

匂いは人の脳に作用し、行動に働きかけます。恋愛なども匂いはとても重要な要素です。そのためニオイ対策はとても重要です。

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